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最悪の一日が終わった次の日。

ナヒード教授が僕達に会わせたい絵描きさんがいるからと、その人に会いにいった。
目的地に向かう途中、あやしい青年がアタマにバングラデシュの国旗(日の丸に似ているアレ)をハチマキにしてニコニコ笑っていて、あいつただものじゃねえな、と見ていたら、なんとそのあやしい青年が、その絵描きだった。名はナジールくん。

オールドダッカにその人の自宅はある。そこらへんはほとんど車が入れない細い路地ばかりで迷路のようになっている。その人の家に行き部屋に案内してもらうと、トコロ狭しといった感じで彼のドロィングが置いてある。
 かなりポップな画風で、絵の中に絶対にベンガルタイガーが登場する。そのベンガルタイガーはナジール君曰くナジール自身であるとのこと。トレードマークなのね。
ヒンズー的とも言える画風で、いろいろな動物、楽器、バングラデシュの風俗(文化)、が絵の中に描かれている。田植え、嫁入り、凧揚げ、シタール、タイコ、象さん、ラクダ、などが実に生き生きと描かれている。
 このナジール君は、絵を描くとき実に嬉しそうに描いているそうだ。また、大きいキャンバスに描いてあった、宇宙船や、電車が宇宙空間を飛んでいるのもすごくかわいくて(やはりベンガルタイガーは出てくる)、全体的に(本人からも)出てくるヴァイブみたいなのが良くて僕は好きになってしまった。
 ポップなことばかり書くのかと思いきや、バングラデシュの独立戦争の絵巻物みたいなのも作っていて、(やはりベンガルタイガーはそれにも出てくる)、それを見てなんか感動してしまった。ただのポップ猿ではないのだな。

彼はナヒード教授の知り合いであるけどダッカ大学の生徒ではなく多分独学で勝手に絵を描いていたようだ。だから英語も全然できない。
だが、彼はバングラデシュにあるフランス大使館でも今度個展をするらしくブレイク直前(?)の予感。



その後、僕が前回から行きたかったムガル帝国時代の面影を残す「オールドダッカ」に向かった。
ナヒード教授はやっぱり「汚いから」行きたくないのだろう、教え子で今はデザインの仕事をしている女の子「ハナちゃん」を案内役としてよこしてくれた。ハナちゃんの弟あだ名は「バブー」(バブーは赤ちゃんという意味)くん21歳も一緒に来てくれた。

まず、オールドダッカの王様の城を見学しにいった。
ここはバングラデシュの紙幣に印刷されるくらい立派な建築物で入って正面にモスク(モスジット)、左に王様の宮殿、右側には巨大な墓、奥にはソルジャー(兵士)の詰め所があり、残りはイギリス風(に僕は見えた)のガーデンが広々とある。城の外と比べると天国と地獄という言葉がぴったりするくらい、城内は美しい。

宮殿は今は博物館のようになっていて、王様が使った食器、戦士の武器、絨毯、コーラン、コーランのミニチュア(かなり精巧)などが陳列されている。
ガイドに紹介されて面白かったのは、王様が使う食器なのだが、一見ただ綺麗な皿なのだが、その皿にもし誰かが毒を盛りつけたりすると、その皿が変色して毒があるのを未然に発覚できるというスグレモノなのだ。王様はいつも気が休まる暇もない。ご苦労さんだ。

城を出て、オールドダッカ市街を僕たちはリキシャー(後ろに荷台がついた自転車)で移動しながら見物した。乗り物は楽しい。違う乗り物に乗りながら、モスクだらけの旧市街を見ていると、本当にタイムスリップしたような気持ちになる。
    話はそれるけど、水戸にも移動手段でなにか面白い乗りものがあったらいいのにな、
    と思う。トラム(ちんちん電車)とか河を走るバスとか、変な形のバスとか。

リキシャーの運転手はみんなやせていて足も細いのに、大人2人を乗せたリキシャーをいとも簡単に動かす(ぼろいのに)。みんな競輪の選手になったらむちゃくちゃ強くて早いだろう。
だいたいもって気温は常時40度近くかそれ以上あるのだ。もちろん汗だくになっているが、それにしてもスタミナとかハンパない。マラソンをやっても強そうだ。多分カースト的なもので出られないのかも知れないけれど。いいもの食べさせてオリンピック出たら絶対強い、と思う。

街なかにある現地の人が行きそうなレストランに入った。今回の旅行でココが一番美味しかった。
なんか小鉢みたいなのに珍しくカレー以外のもの(ナスとか)が出てくる。もちろんカレーは出てくる。それ以外にという意味。
しかしこの日は一緒に行ったナベ君は、昨日食べたビリアニというインド風チャーハンがヤバかったのか、完全にモノを食べられなかった。セブンアップだけ。
 あっちであたるのは、まず水だけれど、それにも増して油はあぶない。
僕も昔インド行ったとき、コフタとか言ったかな、コロッケみたいなヤツを食べたんだけど、あれ?なんか変な味するな、美味しくないな、と思いつつ一緒に行った旅行人が、もったいないから残すな、と言われてまともに食ったら、それで次の日から微熱と下痢とだるさに襲われた。
油が古かったのだと思う。
ので、油に当たった時の「力が出ないよー」的な気持ちはよくわかるのだ。

その後僕たちはホテルに戻り、ナヒードに再度合流して、ハナちゃんの実家に向かった。
ダッカからそんなに離れてないところなのだが、移動の車で一眠りしていると、いつの間にかついた。船じゃないと渡れないところに家があって、そこにハナちゃんの親が仕切っているような集落があった。
 ハナちゃんの親は多分公務員的な仕事をずっと南部の方でやっていて、退職金でここらへん一体を買いとり、いろいろなものを貸しながら(農地、船、砂を集める仕事)生活しているようだった。
ハナちゃん家に行くと、厚手の生地のクレープみたいなもの、あげ餃子みたいな中にココナッツが入っているもの、もひとつは忘れた、すべて甘い三点セットで出迎えてくれた。
日本人がよほど珍しいのか、それを食べてる間もずっと村の子どもたちや女の子が、家の外からこちらをガン見している。気になる。気になるので写真でもとってやろうかとカメラを向けると「ギャー」と逃げてしまう。で、また集まって来たらカメラを向けるという遊びを延々と繰り返す。

 近所にあるハナちゃんのおばあさんの家にまた船で向かい、そこにもまたたくさんの子どもたちが集まって来た。オバケダンスを子どもにみせて遊んだ。
 ココナッツ収穫もした。上手に木をするする登って、上から切ったココナッツを投げる。ナイスキャッチする。結構重い。
 ココナッツの中にあるジュースは、子どもの頃ポンキッキで見て以来、スゴい飲んでみたくてしょうがない一品だったが、前回のバングラデシュで初めて飲んで、おいしいトロピカルな南国の味を期待していたのに、そうでもなくて、というか全部飲み切るのが大変な感じ、がっかりしたのだが、今回とれたてのココナッツジュースを飲むと、おいしくてビックリした。これならスポーツ後の飲み物としてもイケちゃうな。冷蔵庫で冷やしたらもっとウマいんだろうな。
なんでもいちばんおいしいヤツを経験するまで、好きだの嫌いだの言ってはいけないな、と思う。

他にサトウキビも体験した。見た目はただの竹にしか見えないようなヤツなんだけど、その皮をあっちの人はいとも簡単に歯でばりばり剥いてしまう。歯が強すぎる。いや日本人が歯が弱すぎるのか分からないが、とにかく一緒に同行したデザイナーのハナちゃんまで当たり前の顔をして、竹(にしかみえない!)を歯でばりばりやってるのを見るとただ驚いてしまう。
サトウキビは食べると本当に甘い。繊維みたいなのを噛むと甘さがジュワーと出てくる。出なくなったらその繊維をペッと捨てる。

日も暮れてきてとっぷり、集落も満喫してダッカに戻った。しかしその途中またもや凄まじい渋滞に巻き込まれた。
 渋滞が終わるとこにたどり着いて驚いた。原因は右折したいトラックが、みんな信号を全く守らないので、ただ曲がれないから何キロも渋滞しているだけだったのだ。守れよ信号!

やっとホテルに11時頃着いて、僕たちはすぐさま飯も食べずに寝たのであった。

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by unkeeen | 2009-08-22 18:20

5時半起床。
僕らは素敵な家の前で記念写真を撮りすぐさまダッカに向かった。

朝早く出るといいことは道が混んでいないことだ。
日中なら道路の路肩に「リキシャー」という自転車で引っ張る簡易タクシーみたいなヤツがたくさん走ってるんだけど、早朝はあんまりいないのでスイスイと車は進んだ。

バングラデシュの交通事情はムチャクチャだ。まあこれはインドだってタイだってそうなんだけど、車の運転がみんな荒いなんてモンじゃない。1車線しか無いのに、向こうから対向車が来てても、クラクションを「ブビー!」と鳴らしながら追い越しにかかる。抜かされる方も対向車もギリギリぶつからないように寸前でスピードを落とす。もしくは、対向車が路肩にはみだして、道をゆずるみたいな形にもなる。路肩にリキシャーがいるとこの技が使えないので道が混むことになる。
道路を走っている人たちは、対向車と路肩を走るリキシャー、そしてクラクションの音を聞きながら運転しなけりゃいけない。みんなが一つの生き物のように「シンクロ運転」とでも呼ぶような動きをアナログにやっている感じだ。
道中何度も何度も、こりゃあぶつかるんじゃないか!?ってタイミングがあったりするんだけど、寸前でぶつからないのだ。その度ぼくたちは「あぶねー」と笑っていた。

運転手さんは、南アメリカ(ボクはサウスアフリカと聞いた気がする)のブラジル、コロンビア、ペルーなどをドライバーとして何年も働いている人だそうだ。日本にもドライバーとして来たいと言っていたが、ちょっとこの運転では日本は走れないネ。。。

3、4時間運転したところで朝食ということになった。
高速道路(?)沿いのレストランでまたもやカレーを食べる。チキン。ナベ君はバーガーを食べようかと言ったが、ナヒードが「美味しくありません」と注文してくれない。本当に美味しくないのか、それともナヒードが厳格なため食べさせないようにしているのかは、食べてないので分からない。もしナヒードが母親だったら、アレダメコレダメでやだなーと思った。
ボクは子どもには甘やかすわけではないけど、興味が持ったものはちゃんと経験させてあげようと思った。もしアタロウが例え「大事マンブラザーズバンド」のアルバムを買おうとしたとしても、先回りして面白くないよ、なんて言ってやらせてあげないのは良くないな、と思ったのであった。
なんでも経験だ、と思う。

ナヒードはコーラを買うのも嫌がっている感じだったが、まあコーラ、セブンアップは注文させてくれた。これはアジア旅行する人は知っといた方がいいと思うのだが、毎日カレーなどで胃の調子が良くない、なんとなく気持ちが悪い、となった時には、炭酸のジュースを飲むとかなりすっきりする。何も食べたくない、となっても炭酸だけはスッとお腹に入る。体が欲しているんですね。

朝食を済ませて、ダッカまであと2、3時間。
車の中から日本に電話する。今回ドコモは繋がらなかったが、ソフトバンクは簡単に繋がった。
妻タムエに電話して、長距離移動には閉口していたが、そんなことはナヒードが聞き耳を立てているので言えず、昨日の夜はホタルも星空も素敵なところに来て、いいよ!と伝えて、阿太郎もボクのベッドに入って「パパ、パパ」と呼んでいる、と聞いて恋しくなった。

電話を切ってしばらく走っていると、信じられないことが起こった。
僕たちの走っている車の前を横切って、自転車の後ろに人が乗れる荷台に、赤ちゃんを抱っこした
家族が乗っている車が飛び出してきたのだ。一回、減速したように見えたが、猫のように飛び出してきやがった。で、「あれ、これはさすがにぶつかるんじゃないか?」ってタイミングで、急ブレーキをかけたが、やはり間に合わず、僕たちのNISSANキャラバンは、子どもずれの車にヨコから激突した。。。

ぶつかってしまった瞬間、ボクは荷台に赤ちゃんが載っていたのがショックでショックで、見ていられなかった。すぐにたくさんの人が集まって来て、赤ちゃんの父親が赤ちゃんを抱いて「ダダーダダー!」と悲鳴のような声をあげていて、その悲痛な声を聞いてボクは申し訳なくって泣いてしまった。赤ちゃんは頭から血を流している。目は開けているけれど泣いていない。心配だ。
余りボクは見られなかったが、ナベ君にあとで聞くと運転手もぶっ倒れて目を開けていなかったらしい。
 しかしナヒードはその集まって来た人だかりになにやら早口でまくしたてている。そして代表者と思われるべき人を車に載せて、ちょっと離れた場所に移動して、ハナシをつけたのかそいつをその離れた場所に置き去りにして車をまたダッカに向けて走らせてしまったのだ。

ぶつかった時には、今日は大変なことになったな、ナヒードの会議も今日はできないか、大幅に遅れることになるだろう、と思っていたのに、ぶつかった相手がどうなってるかも分からないのに、車を走らせてしまう神経にボクはますますやられてしまった。これはひき逃げと言うんじゃないか?と思った。
ナヒードは「私はダッカ大学の教授よ」と彼らに言ったらしい。それしか言ってないのだ。
そして「彼らみたいな人たちは、石を投げて来たりとかします。わたしスゴくコワかった〜」などと言っているので、ボクはアタマきて、子どもひいといて逃げ出したりすれば、オレだって石を投げる、分かるよ、と言った。

ボクが一番違和感を持ったし、アタマきたのは、ナヒードが「ダッカ大学の教授よと言いました!」という言葉だった。大学の教授だからなんだってんだ?人轢いたら謝れ、相手は子どももいるんだぞ、と。それを相手はレベルの低い庶民だから「石を投げてくる蛮民」扱いしやがって、赤ちゃんは血を流しているってのに、「コワかった〜」じゃねえよと。
上流階級の信じられない特権意識がむかついてむかついてしょうがなかった。ボクは謝罪に行きたかった。というか行かなくちゃいけないだろう、普通。

一応文化の違いってヤツもあるので書いておかなければイケナイ。
昔、本で読んだのだが、インドの話。カーストで身分が低いタクシーの運転手が誤って、身分の高い子どもをはねて死なせてしまったのだが、その時運転手は集まって来た群衆に撲殺にあってしまったという。その後、インドの議会で、人をはねてしまった場合、このように撲殺されてしまう危険すらあるので、ひとまず「逃げていい」という法律を作ったのだそうだ。

そんな法律もあるくらいなので、ここはバングラデシュ。もとはインドということで外国から来た僕たちがヒステリックに「人権侵害だ」とかやるのは、押し付けがましくてめんどくさい正義感にあふれたアメリカンみたいなので、良くないのかも知れない。しかし、しかし、これでいいのか?インドの神はここで「これでいいのだ」というのかも知れない。

すっかり疲れたボクたちは、ダッカに到着。ナヒードは会議に向かった。
今年の4月からナヒードは、美術学部の学部長になったそうで、ナヒードが到着次第会議が始まったらしい。
僕たちは両替を済ませて、ホテルに戻り待機していた。で、荷物を整理していると、、無い。
無い。
DSが無い。
バングラデシュに来る直前ヤマダ電気で買って来た、ニンテンドーDSと入っていたドラクエ9が無い。
やられた。どこでだ?ていうかほとんどカバンからも出してないヤツ。気づくはずも無い。二日前のホテルでは間違いなく見たから昨夜の、あのいい家でとられたクサい。しかしお手伝いのばあさんとかが、DSだけを盗むはずが無い。欲しいはずも無い。子どもクサいな。でも疑うべき人物がいないな。
 着いてすぐカバンは二階にあげてしまったし、昨夜の夜は、みんなでマーケットに行ったはず。14歳の子どもも行っていた。、、、思い出すと甥っ子の方は来てなかった気がする。
あ、、たぶんあの子どもだな。欲しくなっちまったんだろうな。朝、出発前にみんなで写真を撮った時もいなかったな。。。罪悪感かな。まあ、子どもの時はそういうことやってしまったりするもんだよ。しょうがない。


ナヒードの会議も終わり、また合流してその話をすると、あまり返事をしなかった。
それより、オヤジが今日の予定はどうなってるのか聞いた。
そして、明日の予定は?と聞くと、
「予定は決まってません。わたしは今エラくなって、忙しいです。6月にくれば夏休みですが、今は学校もあるので、ダッカからそんなに離れられません」
と怒り始め、
「そんなに言うんなら今すぐ明日からどこ行くか決めてください!今すぐ!」
とオヤジのことを怒り始めたので、ボクは、オヤジに散々お世話になっておいて、予定も決めず何百キロも車で移動するだけで、すぐまた帰って来たりと、理不尽なプランに我慢ならないだけでなく、しかも「忙しいから、ごたごた言うんじゃねえ」的な態度にムカついてしまい、また忙しいって言えば来ねえよ、この野郎とむかついてしまい、意地でもナヒードと離れて、楽しい旅行にしてやると思い、ガイドブックを見ながら、南にある「ハティヤ島」というトコロに行くとナヒードに言った。すると南は「サイクロンが来ている」「船が出ていない」と始まったので、ガイドブックに毎日ダッカからハティヤ島への直行便があると書いてあるので、それをナヒードに伝えると、
日本語で
「あきさん(ボクはこう呼ばれてました)は、私より全然バングラデシュに詳しいですから、どうぞ南にでも行ってください、そしてバングラデシュを存分に味わってください!」
と嫌みたっぷりに言った。嫌みの言い方は一級品だ。スゴい語学力だ。むかついて
「なるほど、僕たちだけで行ったら、散々な目に遭うから、どうぞ味わってくれと、そう言いたいわけだ」
というと、
「プリーーーズ!!!」
と言うので、
「性格悪いね」
とだけ言ってあげて、あとはアタマきたから一言もしゃべらなかった。

で、最初船は往復16時間だと言っていたのに、往復32時間にのびてしまい、なんだかんだ「どうぞ苦しんでください」みたいなことを連発するので、オヤジも不安になって、南の島に行くハナシは中止にした。ただ、ボクは別にガイドなんていなくたって、何とかなるよ、この傲慢なばあさんと一緒にいるより数倍ましだ、と思っていたのだが。

大体、このナヒードは、都合が悪くなると、無視するか、嘘をつく。
ナヒードは上流階級(!)なのでまず汚いところに行くのがいやなのだ。南は貧乏な人たちがたくさん住んでいるようで、それだからまずナヒードは行きたくないのだ。それならそうと言ってくれればいいんだが、その時、南はシーズンが終わってるとか、台風だとかなんだとか嘘をつくのね。
後日ナヒード抜きで、オールドダッカという、ムガル帝国の時代の城や町並みを見に行くことになるのだが、最高に刺激的で面白かったのだけれど、そこも最初はなんだかんだ理由を付けていかせてくれなかったのだ。


ボクは不誠実な対応にもうむかむかしていられなかった。こんな国二度と来るか。
人をひいといて、当たり前な顔していやがりながらインテリ気取りやがって、国を憂えている、なんていいながら、自分がその当事者になっているって事にきずかねえのか?
汚いところから逃げて距離をとってれば、自分の優位が確保されるってのか?
ボクはありのままのバングラデシュが見たい。隠したからあんたがなんか得するのか?

旅行中読んでいたゲーテの本にこうあった。
「私はよく知っている。われわれは平等ではない、また、ありえもしない。しかし思うのだが、威厳を保たんがためにいわゆる賤民から遠ざかる必要があると信じている人間は、敗北をおそれて敵から身をかくす卑怯者と、同じ非難に値する。」
激しく同意。


その後、ボクの無くなってしまったDSのことで、ナヒードは「ひっぱりだこ」だったはずの運転手が犯人だと決めつけて、(ここでも薄々ナヒードは教授の息子が多分とってしまったと気づいていたはずなんだが上流階級にいる身分から犯人を出したく無いという心理が多分に働いていた気がする)、その運転手を詰問していた。ボクはその人は盗むタイミングも全くなかったし、もし盗むとしても、DSなんかとらずに金とるだろうし、自分が疑われそうなのにむざむざ盗むようなおばかにも見えなかったので、ナヒードに「ちょっとその人は疑ってないよ」と言ってくれと頼んだのにまたもや無視されて、その運転手はジブンのバックの中身をライトで照らしながらジブンの潔白を主張した。ボクはそんな事しないでくれよと思い「アイ・ビリーブ・ユー」と言った。が、しこりが消えるはずも無い。あっちからすれば何時間も運転した挙げ句、疑われて最悪だ。
挙げ句の果てには、ナヒードはこの運転手のことを、人身ブローカーみたいな事をやっていて、日本にバングラ人を不法に入国させようとして2ヶ月ほど刑務所に入っていた極悪人みたいな太鼓判までつけた(多分コレも嘘だと思われる。あくまで犯罪を犯すのは身分が下のヤツだと言いたげだ。)

ボクは上流にいながら、上流にいるだけで武士じゃない、こいつらの考え方がムカついて、
この国を支配した昔のイギリス人は
「嘘ばっかりついて不誠実だし、こいつら上流にいるけど、下のヤツだってこいつらに支配されるなら、俺たちに(キリスト様に)支配された方がマシじゃね?」
との思いがあったんじゃないか?と思い、前回来た時は、イギリス人(東インド会社)の悪行三昧を考えてそちらにムカついてたが、今回は「いじめられる方にも原因がある」という認識に至ってしまった。
以前3チャンネルの「世界史」という番組で奴隷制についてやっていたが、アフリカに欧米列強が進出して、植民地化して、奴隷を連れて帰っていったが、それをする欧米側の自己弁護はこんなものだった。
なんと、アフリカ大陸で奴隷を買ったのはもちろん白人なんだが、その奴隷を捕獲して来たのは他でもないその土地土地の黒人の豪族有力者だったという。
白人達は、ジブンの仲間を売るような劣等な種で人間(ヒューマン)じゃないから、こいつらは支配していいでしょ、という身勝手な考えに至ったようだが、生まれて初めてその気持ちがわかってしまった。

おまえら、下を差別しているようだが、俺たち外国人から見れば、同じだからね、一枚岩だからね、と言いたい。ジブンの仲間を見下せば、同じ民族なんだから、ジブンに返ってくるという、極当たり前の事をまるで気づかないようである。

とにもかくにも今日は最悪だ。
子どもを車ではねるし、DSはとられる、ナヒードには嫌みを言われて、差別しまくりだ。
ボクはアタマに来てアタマに来て、ホテルに帰りナベ君とブルーハーツの「青空」をギターを弾きながら歌った。

  生まれたところや皮膚や目の色で一体このボクの何が分かるというのだろう?
  運転手さんそのバスにボクも乗っけてくれないか?行き先ならどこでもいい。
  こんなはずじゃなかっただろ?歴史がボクを問いつめる。まぶしいほど青い空の真下で。

ああ、やさしいから好きなんだ。僕、パンクロックが好きだ。


追記
ナヒードは後になって「私は予定を決めてました。」とオヤジとナベ君に言ったそうな。また嘘をついている。「予定は無い」「文句あるんならジブンで決めろ」と言ったから島に行くと言ったのに。僕はナヒードに「ユーアー・ア・ライアー」と言いたくてしょうがなかった。
オヤジは「寝不足だからイライラしているんだ」と僕を諭した。

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by unkeeen | 2009-08-04 14:10

朝も早起きして、今日はどこに向かうのか聞くと、北の方に向かうということだった。

前回オヤジが、大通りからたまたま入った集落に行き、電気も無いような生活をしている人たちを見て、自分の少年時代の風景を思いだし懐かしくなったのか、大変気に入ってしまい、
「もっと『ど田舎』に行きたい」との要望があり、今回はど田舎に行くそうだ。

昨夜一緒に夕食を食べた教授が北の地方の地主らしく、そこに行くのだそうだ。
教授は2時まで用事があるとのことで、街で時間をつぶす。
異常にアツいなか、マーケットを覗きにいくと、いろんな野菜などが売っている。
牛の頭がぶつ切りにされたままで、店頭においてあったりして気味が悪い。

街にある博物館に行くと、珍しく日本人がいた。その人は東大の美術史かなんかの研究員らしく古井さんとか言ったが、名前の通り古いものが大好きなのか、目を輝かせながら写真を撮ったりしている。一つ、そこにあった石碑の説明を早口に(しゃべることは山ほどありそうだ)してくれた。
牛とロバとラクダの絵が石盤に描いてあるのだが、これは地元の豪族が王様に忠誠を誓う為に作ったもので、もしわたくし(豪族)があなた(王様)を裏切ったら、来世、私は牛に、妻はロバに、息子はラクダに生まれ変わるでしょう、という意味を込めた石盤なのだという。
この人はまだ若そうに見えるのに、サンスクリッド語まで読めるという。すげえ。
まだまだ聞きたいしあっちもしゃべれそうだったけど、忙しそうだったので切り上げる。

ランチは中華を食べた。カレー味がしないものは中華くらいしか食べられない。コーンスープが優しい味である。チャーハンは世界中で美味しい。

2時になったので、教授を迎えにいき、その家族(奥さん、息子、甥っ子)を載せて北の町に向かう。名前はわからない。
今から向かう『ど田舎』は貧乏なバングラデシュの中でもさらに貧乏な地域らしく、気温も一番高いのだそうだ。

またもや、同じような風景が延々延々と続く。本当に坂が無いのだ。山も無いの。
信じられないような危険な運転をしながら、9人を載せてNISSANキャラバンは北上する。
車の中で、バングラデシュの国歌を歌ってもらい、代わりに「君が代」を歌って返した。
バングラの国歌は長い。覚えられない。君が代はすぐ終わるからいいね。終わった後の余韻が素敵なんだ、と思った。

あまりにも同じであまりにも真っすぐな道を5時間くらい行って、「もういいよ」と我慢しきれなくなった頃、目的地に着いた!もう7時だ。夕暮れ時。
幹線道路を曲がり少し中に入っていくと、綺麗に道沿いの両端にライチの木が並んでいる道を行くと、とても感じの良い別荘らしきところに着いた。日本で言う「蔵」のような作りで、スゴいしっかりした家だ。
家に着くと、全然使ってないその家を管理する為にいると思われる、使用人みたいなのが出てきた。先祖代々、この家族の使用人をやっているのだそうだ。
なんと別荘前にある湖(沼?)に魚をとりにまでいってくれる。

暗くなってきて、家の電気も華やかに点いていたのだが、いきなり停電になる。バングラデシュでは停電は日常茶飯事。
教授の息子(見た目は真っ黒な黒人,14歳、メガネ)が「近くのマーケットに行かないか?」と誘って来たので、快く快諾すると、みんなで行こうということになり、暗い道を歩いてマーッケットに向かう。するとホタルがアチコチを飛び回っている。とっても綺麗で、上を見ると、こんなに星があるのか!!!と驚くほどの星空。天の川ってのがどういうものなのか、初めて分かった。
なんて綺麗なんだ。
長い移動時間もすっかり報われた気がして、いよいよバングラデシュに来たなーという実感が。

マーケットにつくと、「え!?ここにこんなに人がいるのか?」と驚くくらいの人がいる。そいつら全員がみんなハンパない視線をこっちに送ってくる。みんなチャイなどを飲んでゆっくりしていたようだが、全員がこっちに集まってくる。もう日本人が来たということが、相当珍しいのだ。
特別に外に用意してくれた、椅子に座り、そこにチャイを運んでくれて、真っ暗の中、5.60人に囲まれながら、ガン見されながらチャイを飲んだ。

みんな、そうとう娯楽に飢えている感があった。
こりゃあ、レゲエのサウンドシステムでも一個置いとけば、三年もしたらハンパない発展したりしそうだな〜と話す。楽器をおいとけば、かってに珍しい音楽が生まれそうだと思った。なんせ時間があるからな。ヒマだから。ジャマイカってこんなんじゃないかと思った。
で、オヤジが宣教師なんかがココで布教したら全員キリスト教に入信するな、とか言っていたが、スゴく納得出来た。何も娯楽が無い時だったら、神様も娯楽だな。暇な人にいろいろなおハナシをしてくれる宣教師、千夜一夜物語だなー。話す相手が王様じゃなくて村の人だってことだ。

その後、教授の先祖からの家ってとこに車で向かう。なんかオバケが出そうな建物だった。かなり立派で荘厳だけど。
教授の息子が、英語で紹介してくれた。
「ここら辺は、ボクのおじいちゃんのおじいちゃんが支配(lord on)したんだよ、と無邪気に話していた。一回身分が決まったら100年も200年もその身分が続くことを考えると、小学校でいじめられると、6年間はいじめられ続けるというのに似ている気がした。

さて、もう夜も遅いので、別荘の方に戻った。停電も終わり、まったりしているといきなり、ナヒード教授が「明日は5時半起きです。ダッカに戻ります」と言う。
いいとこ着いたばっかりなのになんでだ?
理由を聞くと、大学で会議があるらしくナヒードがいないと始まらないとのこと。

僕たちは、仮眠をとったくらいで早朝5時半に起きて、またダッカに舞い戻るのであった。
その道中大変なことがおきるのであった。
次回に続く。

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by unkeeen | 2009-08-01 01:23