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バングラディシュ2 (カースト)

インドに似てるバングラディシュだが、スゴく変だなーと思ったのは、町のあちこちにカースト的なものをバングラディシュにも感じるからであった。

ヒンズーであるインドにカーストがあるのはかまわないよ、でもバングラディシュはイスラムの国なんだから、アッラーの前に完全な平等があるんじゃなかったっけ?なんで差別があるんだろう?


今回案内してくれたナヒードさんは、ダッカ大学の美術の教授で(女性)、博識だし、しっかりとした考えを持っていて尊敬できる人だった。


だが、旅行中こんなことがあった。
マンゴーが穫れる町ラジシャヒに向かおうと(ダッカから車で5時間くらい)車を借りて運転手を雇った。
ダッカ市内で少し用事があって車を停めていた時、運転手が勝手に車を違う場所に移動していた。
用事が終わり電話をするとその運転手がすぐに電話に出ない。
あれ、どこ行っちゃたのかな?荷物も全部車の中じゃん。てな空気が流れる。
でも、しばらく(2、3分)すると戻ってきた。
駐車違反になると思い、車を別な所に移動していた、と言い訳した。
ナヒード教授はその運転手に「運転手がいれば駐車違反にはならないハズだ!(確かに)」と強い口調で怒鳴り始めた。
「携帯にすぐ出なかったのは、マナーモードにしていたからです」
とか一生懸命言い訳していたようだが、あまりにもナヒード教授が疑って怒っているので、次第に返事しなくなった。(そういう風に僕には見えた)

実際には何も盗まれていなかったし、電話して2、3分で戻ってきたわけだし、いいじゃないか。と僕は思うんだけど。

そしたら、ナヒード教授は、返事をしなくなったのが気に喰わなかったらしい、
「この人は、ジー(ハイという意味の良い返事)と言わない。態度が悪い」
と言って、散々けなし始めた。日本語で。

確かにその運転手はホテルに付いた時など、全然荷物を運んでくれないし、サービスが悪い気もした。でもそれはあまりにも旅の始めに、疑われて怒鳴られて(しかも女に)
、そりゃあ気分良くサービスするはず無いよな、と僕は思うんだな。

でもことあるごとに、「この運転手は成っていない、ダッカに帰ったらこの運転手はクビにしてもらう」って言ってるわけ。悲しくなるよな。一緒に旅した人がさ、クビに成る運命なんて。



こんなこともあった。
高速道路にある、ちょっと高めなレストランに入った時のハナシ。
僕たちだけで入ろうとしたもんだから、
「あれ、運転手さんは?」
と言うと、
「いいんです、いいんです」
とナヒード教授。
「いや、でもー」と
こちらが折れないでいると
「いいですか、こういうコトにはディスタンス(距離)大切です。以前お父さんを案内した時は一緒に食べましたが、ロクな事になりませんでした。ディスタンスは大切です。」
と押し切った。

僕は「インドっぽいな」と思っただけでそれ以上突っ込まなかったが、あの感じはまさにカーストだ。差別だ。この国はイスラムじゃないのか。

自分達の仲間や子どもがずっと金持ちもしくは上にいるために、下には下でいてもらう。そのためのディスタンス。きっかけすら与えない。
それは自分の地位を守るための知恵なのかもしれない。
でも、日本で育ってきた僕にとっては、かなり違和感がある。
インテリで、ウーマンリブにも熱心な教授が考える事ではないと思った。


で、日本に再び思いを馳せてみた。
日本だって格差社会ってのが広がってる。新たな階級の出現、もしくは階級の復活だ。
下のヤツにはチャンスを与えない。そうするとずっと上は上でいられる。何世代も何世代も。ずるいね。
下にいる人は教育もままならない。それでますます上の人は、「こいつらヒューマンじゃないよね」と差別する。最初小さな差だった両者の溝は決定的に離れていく。

「金持ちはどんどん金持ちになっていく」これは間違いの無い真実だと思われる。
つまりほっておくと、格差ってのはどんどん広がってしまうもんだから、国が税金穫ったりして所得再分配をする。
また国はチャンスが少ない人にも同じように教育を受けさせなくてはいけない。
そう勉強したよ。
これらは身分が高い上の人が率先していくべき義務のような気がする。


そこで思い出したのが、武士。

武士は食わねど高楊枝。

金はないけど、しっかりした考えを持って、それに伴って行動できる権力もある。そういう人間。

身分社会が出来る事自体、反対だけれど、それが時代の流れで避けられないのなら武士のような身分を作らないと絶対にヤバい気がするのだ。

by unkeeen | 2008-07-14 01:37